『怪獣のバラード』は最初から学校教育用の合唱曲として作られたわけではありません。その起源は1972年、NHKの総合テレビで放送されていた若者向け音楽番組『ステージ101』にあります。番組専属の音楽グループ「ヤング101」のオリジナルナンバーとして世に送り出されたのがすべての始まりでした。
作詞を手がけたのは、越路吹雪の楽曲や数々の歌謡曲、ミュージカル訳詞で日本の音楽史を築いた岩谷時子。作曲・編曲は、同番組の音楽監督を務め、洗練されたブラスロックやジャズの要素を日本のポップスに昇華させた巨匠・東海林修です。
当時、怪獣特撮ブームの真っ只中にあった日本において、「怪獣=倒すべき破壊者」というステレオタイプを鮮やかに覆し、怪獣の内面に宿る孤独と情感にスポットを当てた二人の慧眼は革新的でした。テレビ画面の中で躍動したポップスは、その圧倒的なキャッチーさと音楽的完成度から教育現場の指導者たちの耳に留まり、やがて合唱コンクールの定番曲へと姿を変えて全国の教室へと浸透していきました。