大相撲における八百長疑惑は、近年のメディア報道によって突如浮上したものではない。その根は深く、古くは昭和の時代から幾度となく噂されては打ち消されてきた歴史がある。世間の不信感が決定的となったのは、元力士による決死の内部告発や、メディアによる大規模な追及報道だった。
特に角界を激震させたのが、1990年代から週刊ポスト誌上で連載された一連の暴露記事である。元小結の板井圭介氏をはじめとする元関係者が、実際の星の売り買いや特定の力士間で行われていた「約束組手」の具体例を実名で暴露。勝ち越しをかけた本場所最終日の取引など、極めて詳細な証言が世間に大きな衝撃を与えた。
当初、日本相撲協会は一貫して不正を否定し、名誉毀損訴訟などを通じて疑惑を全面的に突っぱねる姿勢を見せていた。しかし、2010年代に入り押収された携帯電話の電子メールデータから直接的な金銭授受や勝敗操作のやり取りが発覚。長年くすぶり続けていた八百長問題は紛れもない事実として白日の下にさらされ、角界は過去最大の存続危機に直面したのである。