本作には、アニメファンであれば思わず息を呑むような豪華声優陣が贅沢な脇役として名を連ねており、映画公開後にネット上でも大きな反響を呼びました。
最たる例が、糸守高校の古典教師として登場する「ユキちゃん先生」役の花澤香菜です。このキャラクターは、新海誠監督の前作『言の葉の庭』(2013年)のヒロインである「雪野百香里(ゆきのゆかり)」と同一人物であることが示唆されています。劇中で黒板に「誰そ彼(黄昏時)」の語源を書き、作品全体の核心テーマを説く重要な役回りを、前作のヒロイン本人が演じるという演出は、新海ワールドを愛するファンへの最高のサプライズとなりました。
さらに、瀧の高校の友人関係を演じた島﨑信長(藤井司役)と石川界人(高木真太役)、三葉の親友・サヤちん役の悠木碧は、いずれも数々のヒット作で主役を務めるトップ声優です。主役級のプロ声優たちが自然な高校生の日常会話をバックアップしたことで、現実感あふれる軽快な会話劇が成立しました。主演の俳優陣が持つ「飾らないリアリティ」と、プロ声優陣が持つ「音響的な安定感」が相互に作用し、作品のクオリティを極限まで押し上げたのです。