2026年の現在、メディア環境は地上波テレビからYouTubeやポッドキャストなどのデジタルメディアへと大きな変容を遂げている。しかし、ネット上で動画配信者の「喋り」や「切り込み方」が議論される際、必ず比較対象として名前が挙がるのが久米宏のカメラワークや間(ま)の取り方だ。
メディア露出を抑え、穏やかな日常を送る今の久米だが、時折メディアで語られる言葉には、かつてと変わらぬ切れ味と温かみが宿っている。妻である久米麗子と共に穏やかな老後を過ごしながらも、現在の社会情勢やメディアのあり方に寄せる彼の眼光は鋭い。噂された娘の存在など必要としないほど、彼が遺してきた番組や放送美学そのものが「子供」のように次の世代へと受け継がれている。