戦火のただなかで、一冊の洋書を抱きしめる女性がいた。カナダの作家ルーシー・モード・モンゴメリが遺した傑作『赤毛のアン』である。宣教師ミス・ショウから贈られたこの原書を、村岡花子は空襲警報が鳴り響く防空壕のなかでも手放さなかった。
「どんなに暗い時代であっても、言葉の光を絶やしてはならない」——。絶望的な戦況下で密かに進められた翻訳作業。激しい空襲で原稿が焼け散る危険に直面しながらも、守り抜かれたその訳本こそが、戦後日本の子供たちに夢と希望を与えたあの名訳だ。ドラマは、この奇跡のような出版秘話を胸を打つリアリティで描き出している。