平安時代の上皇の離宮をルーツに持つ旧嵯峨御所大覚寺門跡は、単なるロケ地を超えた圧倒的な本物感を持つ。特に日本最古の人工庭園池である大沢池の周辺は、数多くの歴史劇で壮大なロケーションとして重用されてきた。
近年の名作で印象的なのは、アクション映画『るろうに剣心』シリーズだろう。静寂を切り裂く刀撃の音と、水面に揺れる美しい木々。伝統的な歴史劇が持つ重厚感に現代的なスピーディーな演出が融合し、若年層のファンをも魅了した。水辺の木組みや朱塗りの堂宇が作り出す陰影は、CGでは決して再現できない生の空気感を画面に焼き付ける。
また、宸殿(しんでん)前の白砂や曲折する村雲橋は、公家や将軍家が鎮座する重厚なシーンに欠かせない。静けさの中に漂う静謐な気品。それが、数多の作品で名場面を生み出し続ける理由なのだ。