紫外線の影響といえば肌のシミや日焼けを連想しがちですが、医学的には「目への直接的なダメージ」のほうが深刻な不可逆的リスクをもたらします。世界保健機関(WHO)の公表データによると、世界中で発症する白内障の約20%は紫外線被曝が直接的・間接的な要因とされています。
紫外線が目に与える影響は、短期的な急性障害と長期的な慢性疾患に大別されます。
強い紫外線を短時間に浴びると、角膜の表面が炎症を起こす「紫外線角膜炎(雪目)」を発症し、激痛や充血、涙が止まらないといった症状が出ます。これは通常24〜48時間程度で自然治癒しますが、問題は数十年単位で蓄積される慢性ダメージです。
角膜を通過した紫外線(UV-A)は水晶体に蓄積され、タンパク質を変性させて白濁を引き起こす「加齢性白内障」の引き金を引きます。さらに、水晶体をすり抜けた微量な紫外線が眼底の網膜中心部に届くことで、失明原因の上位である「加齢黄斑変性」の発症リスクを高めることも実証されています。また、白目の組織が黒目に向かって異常増殖する「翼状片」も、屋外で紫外線を浴び続ける労働者やマリンスポーツ従事者に極めて多く見られます。
水晶体に蓄積された紫外線ダメージは、一度蓄積すると元の状態に戻すことはできません。だからこそ、日差しが強くない春先や秋口、曇天の日であっても、瞳孔を開かせないライトカラーサングラスを日常的に装用し、生涯の被曝線量をコントロールし続けることが最善の予防策となります。