『古事記』『日本書紀』とホツマツタエを比較した際、最も読者を驚かせるのが神々の描写とジェンダーの相違です。国家的な正史として編纂された記紀と、ホツマツタエに描かれる伝承には、以下のような構造的ギャップが存在します。
記紀において天照大神は「高天原を統べる太陽の女神」として位置づけられますが、ホツマツタエにおける「アマテル神(天照神)」は実在した男性の指導者として描かれます。正妃であるセオリツヒメ(瀬織津姫)をはじめとする12人の后を迎え、地上で民を教え導いた人間味あふれるリーダー像が提示されているのです。
伊勢神宮の外宮に祀られる「トヨケ神(豊受神)」の描写も特異です。記紀では食物神としての側面に留まりますが、ホツマツタエでは東北・日高見国を統治した賢人であり、アマテル神の教育係・外祖父として最高峰の知恵者として登場します。