「天気の良い日に干せばダニは退治できる」という認識は、衛生微生物学の観点からは明確な誤解とされています。日本アレルギー学会などの学術調査や繊維検査機関の実証実験によると、ダニが死滅する条件は「50℃の熱で20〜30分以上」または「60℃以上の熱で瞬時」と判明しています。
真夏の炎天下であっても、天日干し中の布団表面温度はせいぜい40℃前後にとどまります。さらに、ダニは光と熱を感知すると、温度の低い布団の裏側や中綿の最深部へと潜り込んで逃避します。その結果、数時間の天日干しを行っても、生存率は約90%以上に達するという実験結果が報告されています。
加えて、干した布団を強く叩く行為は百害あって一利なしです。繊維の中に残ったダニの死骸やフンが細かく粉砕され、呼吸器から吸い込みやすい微小アレルゲンへと変化してしまいます。表面のホコリが払われたように見えても、内部ではアレルギーの原因物質が拡散しているのが実態です。布団のダニ退治において、単なる天日干しは「湿気を飛ばして一時的に寝心地を良くする」以外の駆除効果は見込めません。