劇団ピッカリ座の公演を語る上で欠かせないのが、「一流声優によるプレスコ(事前収録音源)」と「卓越した操演キャストの身体表現」の完全な融合です。
舞台上で着ぐるみをまとう俳優たちは、視界が極端に狭く、呼吸すら容易でない過酷な環境の中で演技を行います。その中で子どもたちを劇世界へ引き込むため、台詞と劇中歌には日本のアニメ・吹き替え界を牽引したレジェンド級の声優陣が惜しみなく起用されていました。
作品ごとにクレジットされた声優陣には、野沢雅子氏、肝付兼太氏、山田栄子氏、増山江威子氏、神谷明氏など、国民的アニメの主役を務める名優たちが名を連ねていました。プロ中のプロによる情感豊かなセリフ回しと、ピッカリ座専属のスーツアクターたちによる指先一つまで計算されたジェスチャーが合致した瞬間、人形には命が宿りました。
劇団員たちが残した手記や当時のインタビューでは、「声優さんのセリフの間(ま)や呼吸の微細な震えを何百回と聞き込み、首の傾き角度1度単位で感情をシンクロさせた」という過酷な稽古の様子が明かされています。子ども向けだからと妥協せず、舞台芸術としての極限のクオリティを追求した職人魂こそが、ピッカリ座の評判を押し上げた真髄でした。