日常会話において「色弱」とひとくくりにされがちですが、その内実は一様ではありません。視覚の多様性には明確なバリエーションが存在します。特に頻度が高いのが「赤緑色弱」と呼ばれるタイプですが、ここには1型2型色覚違いという重要な分類が存在します。
長年、眼科学会等で「赤色盲・赤色弱」と呼ばれていたものが1型色覚、「緑色盲・緑色弱」と呼ばれていたものが2型色覚に該当します。両者の決定的な差異は「赤色の明るさの感じ方」にあります。1型色覚では、長波長(赤い光)を感じるL錐体に特性があるため、深みのある赤色が黒っぽく暗いトーンに沈んで知覚されます。これに対し、中波長(緑の光)を担当するM錐体に特性がある2型色覚では、赤と緑の識別は難しくなるものの、明度の低下はほとんど生じません。
近年の研究機関や自治体が配布する色弱見え方シミュレーターを通してみると、当事者が「世界を白黒で見ている」という通俗的なイメージが完全な誤解であることが分かります。彼らの視界には鮮やかな青や黄色、明暗のグラデーションが豊かに広がっています。ただし、赤と緑が混ざり合う中間領域の色相環において、特定の組み合わせが同系統の色としてマッピングされるのです。
上の表が示すように、一口に赤緑色弱特徴まとめと言っても、1型と2型では知覚のあり方が明確に異なります。こうした差を無視して「見えない人」と粗雑に一括りにしてしまうことが、教育現場や職域におけるすれ違いの温床となってきました。