エセルの中庭を語る上で欠かせないのが、同じ建物の2階に位置する姉妹店「アール座読書館」との棲み分けです。どちらも同じオーナーによって手掛けられた空間でありながら、設計思想と推奨される過ごし方には明確な差異が存在します。
最大の違いは、「会話に対する制限の度合い」にあります。
2階のアール座読書館は「完全私語厳禁」の読書空間です。ノートをめくる音やペンの走り、店内に配置された巨大なアクアリウムの水音だけが響く純度の高い静寂が保たれており、原則としてお一人様での思索や読書に特化しています。同行者がいる場合でも、店内での筆談以外のコミュニケーションは認められません。
対して、3階のエセルの中庭は「小声での静かな会話が可能」です。空間全体に幻想的なBGMや物語の朗読音声が流れており、親しい友人やパートナーと「このハーブティー美味しいね」「あの鳥かごの装飾が素敵だね」といった感想を小声で共有することができます。もちろん、大声での笑い声や居酒屋のような歓談は厳禁ですが、静寂の緊張感に縛られすぎることなく、二人で物語の世界に浸りたい場合にはエセルの中庭が最適な選択肢となります。