繰り上げ受給とは、原則65歳から受け取る老齢基礎年金や老齢厚生年金を、60歳から65歳になるまでの間に前倒しで受け取る制度だ。ここで最も重要なのが減額率の仕組みである。現行制度では、繰り上げた月数に応じて「1ヵ月あたり0.4%」の割合で年金額が減らされる。たとえば60歳0ヵ月で受給を開始する場合、繰り上げ月数は60ヵ月。0.4%×60ヵ月=24.0%の減額となり、本来受け取れるはずだった年金額の76%しか受け取れない計算になる。
この「24%減」は一時的なものではない。受給権が発生した時点で減額率が固定され、その後、何歳まで生きても同じ率が適用され続ける。つまり、もし90歳まで生きた場合、30年間にわたって毎年24%少ない年金で生活することになる。これが繰り上げ受給の最大のリスクであり、単純な損得計算を狂わせる要因だ。