桃を与える際に排除すべきリスク要因は、主に以下の3点に集約されます。
1. 種子に含まれる「アミグダリン」の中毒性
桃やアンズ、スモモなどバラ科サクラ属の植物の種子中には、青酸配糖体であるアミグダリンが含まれています。アミグダリン自体は無毒ですが、体内の酵素や腸内細菌によって分解されると有毒なシアン化水素(青酸)を発生させます。種を強く噛み砕いて成分を摂取してしまった場合、呼吸困難、痙攣、粘膜の充血、嘔吐などの急性中毒症状を示すリスクがあります。
2. 外皮に潜む農薬残留とアレルギー発症
桃の皮には細かい産毛(トライコーム)が生えており、これが愛犬の口腔粘膜や喉を刺激してかゆみや炎症を引き起こすことがあります。また、犬は植物性の強固なセルロースを消化する酵素を持たないため、皮をそのまま食べると消化不良による下痢や嘔吐を招きます。さらに、バラ科植物に対する口腔アレルギー症候群(OAS)を持つ犬の場合、皮の接触によって口周りの発赤や腫れが出現するため、皮は完全に剥いて与えるのが大原則です。
3. カリウム含有量と慢性疾患のリスク
桃100g中には約180mgのカリウムが含まれています。健康な犬であれば余剰なカリウムは腎臓から尿中に排出されますが、腎臓病や心疾患を患っている犬の場合、カリウムを正常に排泄できず高カリウム血症を誘発する恐れがあります。不整脈や筋力低下の原因となるため、持病のある愛犬への給餌は必ず事前に獣医師の許可を得る必要があります。