画面が真っ黒になり、凄まじい音圧が鳴り響く様子を見て、「単に音符を乱数でばら撒いただけのノイズではないか」「いたずらにPCに負荷をかけるだけの悪ふざけ」と誤解する層も少なくありません。しかし、これは実態を見誤っています。
優れたブラックMIDI作品の内部構造を解析すると、極めて緻密な音楽理論と視覚設計が両立されていることが分かります。
- 徹底したコード進行の維持:無秩序に音を鳴らしているわけではなく、原曲のコードトーン(和音構成音)のオクターブ違いや倍音成分を計算して音符が配置されているため、数百万音あっても原曲のメロディが美しく浮き彫りになります。
- ベロシティ(音量)の精緻な制御:背景を埋める無数の音符は極端にベロシティを下げて「背景のグラデーション」として機能させ、主旋律のノートだけを強調することで、爆音ノイズにならず「重厚なオーケストレーション」のような響きを実現しています。
- ピアノロール上のグラフィックアート:音符の配置そのものを使って、画面上に東方Projectのキャラクター(十六夜咲夜など)のドット絵やフラクタル図形を描き出します。「音を聴く」と同時に「楽譜を目で見る」二重のエンターテインメントとして設計されているのです。