まず押さえておきたいのが、言葉本来の正確な定義です。「舎弟」の読み方は「しゃてい」であり、デジタル大辞泉や広辞苑第七版などの主要国語辞典では、第一の語義として「自分の実の弟、または他人に自分の弟をへりくだっていう言葉」と明記されています。
語源の由来を漢語の成り立ちから紐解くと、「舎」という漢字には「粗末な小屋・わが家」という意味が含まれています。つまり、自宅や身内を指す謙遜表現として使われていたものであり、「粗末なわが家にいる弟」というニュアンスから転じて、外部の人に対して「私の愚弟」と紹介する際に用いられていました。
古典的な対義語としては、自分の兄をへりくだって呼ぶ「舎兄(しゃけい)」が存在します。明治から昭和初期の文学作品(本庄陸男の『石狩川』など)では、他人の弟を指して「舎弟は幾つになられた」と尋ねるような用例も見られますが、現代の日常会話において実弟を「舎弟」と呼ぶケースはほとんど姿を消しました。今日では、後述する擬制家族的な人間関係や組織の身分を指す用法が圧倒的な主流となっています。