結論から明かすと、自転車が道路の右側にある歩道を走行すること自体は、道路交通法上の「逆走(通行区分違反)」には該当しません。この事実は、多くの自転車利用者だけでなく一部のドライバーにとっても意外な盲点となっています。
自転車は道路交通法上「軽車両」に分類されるため、原則として車道を通行しなければならず、車道においては道路の中央から左側部分を通行する義務があります(道路交通法第17条4項)。車道の右側を走行する行為は明白な「車道逆走」であり、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が定められた重大な違反です。また、道路の端にある「路側帯」についても、2013年の法改正以降は道路の左側に設置された路側帯のみ通行可能と規定されています(道路交通法第17条の2)。
しかし、歩道に関しては法解釈が全く異なります。「普通自転車歩道通行可」の標識が設置されている歩道や、車道通行が危険なやむを得ない状況において歩道を通行する場合、法律上に「歩道内の進行方向」を制限する規定は存在しません。つまり、道路の右側にある歩道を北向きに進もうと南向きに進もうと、歩道上である限りは進行方向による違法性は問われないのが現行法の構造です。
法的に逆走とならないからといって、無条件に安全が保障されているわけではありません。歩道を通行する際には、進行方向の制限がない代わりに、車道走行時よりも遥かに厳しい行動規範が課されています。