結論から述べると、胎児期の皮膚形成プロセスにおいて毛包(毛根を包む組織)には必ず一定の方向性が生まれるため、解剖学的に毛流の起点が存在しない人間は存在しません。しかし、外見上「つむじがどこにあるのか全く見当たらない人」は確実に実在します。
現場のサロンワークや毛髪外来の観察データによると、つむじが視覚的に認識できないケースには明確な3つの要因があります。
第1に、毛流れの起点が頭頂部ではなく、前頭部の生え際近くや後頭部の極端に低い位置に存在する「異所性つむじ」のケースです。本人が頭頂部ばかりを確認しているため、実際には別の部位にある起点を見落としているパターンが目立ちます。
第2に、毛流が渦を巻かずに放射状・平行に均一分散している「無渦型(むかがた)毛流」です。つむじ特有の地肌が割れるスポットが形成されず、髪が自然に四方へ均一に流れるため、どれだけ探しても渦巻きが目立ちません。
第3に、髪の毛の密度が極めて高く、毛髪が垂直に立ち上がる剛毛質である場合です。毛根が地肌に対して直立して生えていると、渦巻きの広がりが隠れてしまい、つむじの存在を肉眼で確認することが困難になります。