すみだ北斎美術館を語るうえで避けて通れないのが、建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した建築家、妹島和世氏(SANAA)による斬新な建築デザインです。地上4階・地下1階の建物は、アルミパネルで覆われた外壁が周囲の下町の空や緑地、街並みを淡く鏡のように映し出します。
最大の特徴は、建物の東西南北すべての面に入った「スリット(切り込み状の通路)」です。通常の美術館に見られるような重厚な正門や閉鎖的な壁面を排し、公園を歩く近隣住民や子どもたちが四方八方から自由に通り抜けられる動線が設計されています。「地域に開かれた美術館」という設計思想が見事に具現化されており、内部へ入るとスリット部分に配されたガラス窓から自然光が差し込み、現在と過去が交差するような独特の浮遊感を体験できます。