なぜ今「風の丘」に惹かれるのか?絶景と名曲、名建築の秘密に迫る

なぜ今「風の丘」に惹かれるのか?絶景と名曲、名建築の秘密に迫る

なぜ今「風の丘」に惹かれるのか?絶景と名曲、名建築の秘密に迫るについて知っておくべき 事実を分かりやすく解説いたします。

建築ファンやランドスケープデザインの専門家にとって、「風の丘」といえば大分県中津市に佇む「風の丘葬斎場」(1997年完成)を置いて他にありません。建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞受賞者である槇文彦(1928–2026)が設計を手掛け、村野藤吾賞をはじめとする数々の栄誉に輝いた現代日本の最高傑作の一つです。

この建築の際立った特徴は、周囲の前方後円墳や豊かな丘陵地帯と一体化するように、建物の大半を地中に埋設させたランドスケープデザインにあります。コンクリート、スチール、レンガ、木といった異なる素材が見事に調和し、エントランスから中庭、告別室へと進む動線の中で、光と影、水音、そして吹き抜ける風が計算し尽くされています。

「死者を送る場」という極めて重いプログラムでありながら、遺族に深い安らぎと生への希望を感じさせる建築空間。槇文彦が追求した「パブリック・レルム(公共の領域)」の思想が具現化されたこの場所は、建築を志す人々にとって今なお必訪の聖地であり続けています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。