現在では全員が単独で映画や地上波ドラマの主演を務める超実力派たちが、なぜ2014年公開の本作に一堂に会することができたのでしょうか。プロダクション関係者の証言や当時の映画界の状況を振り返ると、いくつかの決定的な要因が浮かび上がります。
第1に、山口雅俊監督による圧倒的な先見性とキャスティングの眼力です。当時、菅田将暉は映画『共喰い』(2013年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した直後で、尖ったインディーズ作品から商業映画へと大きく飛躍する過渡期にありました。窪田正孝もNHK連続テレビ小説『花子とアン』(2014年)で全国的知名度を獲得する直前であり、門脇麦も映画『愛の渦』(2014年)で体当たりの演技を見せ脚光を浴び始めた時期でした。
第2に、「山田孝之という役者が持つ現場の求心力」です。当時すでに若手俳優の最高峰として君臨していた山田孝之の座長現場は、気鋭の若手にとって自らの演技力をぶつける「最高の道場」と捉えられていました。当時のインタビューにおいて菅田将暉が「山田さんの背中を見て芝居の重みを学んだ」と語り、窪田正孝が「極限状態の人間を演じる上で、妥協のない現場の熱量に引き上げられた」と回顧している通り、名実ともにハイレベルな演技合戦が繰り広げられる土壌が整っていたのです。