楽譜上で指示されるペダル記号には、伝統的な古典表記と、20世紀以降に普及したモダンな線表記の大きく2系統が存在します。それぞれの視覚的な特徴と意味を理解することで、打鍵と足の連動がスムーズになります。
クラシックの標準的な楽譜(ショパンやリストなどのロマン派作品に多い)で最も頻出するのが、筆記体調の「Ped.」という文字と、アスタリスクや雪の結晶に似たピアノのペダル記号の花マーク(✻)の組み合わせです。「Ped.」が現れた位置でペダルを踏み込み、花マークが置かれた場所で足を完全に離す指示を示しています。この花マークは正式にはピアノのペダルを離す記号として機能し、響きの残響を即座に断ち切るタイミングを明示しています。
一方、近代以降の楽譜やポピュラー音楽のスコアでは、視覚的な直感性に優れたピアノのペダル記号の線(ブラケット・カギ線)が広く採用されています。この表記では、下向きの折れ線(┌)で踏み込みを開始し、横線が伸びている間はペダルを踏み続け、上向きの折れ線(┐)で足を離します。途中に山型の突起(/\)がある場合は、「音を途切れさせずに一瞬で踏み替える」という動作を表します。
また、楽譜全体や特定セクションの冒頭に「senza pedale(センツァ・ペダーレ)」と指示されている場合は、「ペダルを一切使わずに指のタッチだけで演奏する」という意味になります。バロック期の作品(バッハなど)をピアノで演奏する際や、クリアなアーティキュレーションが求められる速いパッセージで指定される重要な演奏用語です。