愛犬が脱力して眠っている最中、急にピクッと手足が跳ねたり口元が震えたりする現象の正体は、医学的には睡眠時ミオクローヌスと呼ばれる筋肉の瞬間的な不随意運動です。人間でもウトウトと眠りに落ちる瞬間に「ビクッ」と体が大きく跳ねて目が覚めることがありますが、犬の体内でもまさに同じ神経伝達のプロセスが働いています。
犬は成犬で1日平均12〜14時間、子犬やシニア犬では18時間以上もの時間を睡眠に費やします。しかし、野生時代の名残から外敵の襲撃に即座に対応できるよう、その睡眠サイクルの約8割は浅い眠りである「ノンレム睡眠(導入期)」や浅い休息状態で占められており、身体の筋肉が完全に弛緩しながら脳が活発に記憶整理を行っている「レム睡眠」の割合は全体の2割程度に過ぎません。
このわずかなレム睡眠の時間帯に、犬の脳内では日中に経験したドッグランでの疾走、他の犬とのコミュニケーション、飼い主とのボール遊びなどの記憶が整理され、人間と同じようにリアルな「夢」を見ていると考えられています。大脳皮質から運動神経へ送られる電気信号のブレーキが睡眠中にわずかに緩むことで、手足をバタバタ走るように動かす原因となったり、かすかな寝息が「クゥーン」「ワン」といった寝言として漏れ出たりするのです。