黒バラ女王が放つ不気味な存在感は、ビジュアルだけでなく、声優を務めた小原乃梨子さんの神懸かり的な演技力によって完成されていました。
小原乃梨子さんといえば、『ドラえもん』の野比のび太役や『ヤッターマン』のドロンジョ役、『未来少年コナン』のコナン役など、日本アニメ史に燦然と輝く代表作を多数持つ国民的レジェンドです。しかし、黒バラ女王で見せた芝居は、親しみやすい少年ボイスやコミカルな三悪の女王とは完全にかけ離れたものでした。
地を這うような低音の響き、他者を虫けらのように見下す冷徹な台詞回し、そして耳をつんざくような狂気じみた高笑い。関係者の回顧録や特番インタビューでも語られている通り、小原さんは悪役を演じる際、「単なる嫌われ者ではなく、そのキャラクターが持つ誇りと絶対的な美意識」を徹底的に追求していました。その職人技とも言える怪演があったからこそ、黒バラ女王は単なるモンスターにとどまらず、画面越しに幼児を竦み上がらせる「本物の魔女」としての凄みを獲得したのです。
2024年に小原さんが惜しまれつつこの世を去った際も、SNS上ではドロンジョやのび太と並び、「子どもの頃、小原さんの黒バラ女王が本当に怖くて泣いた」「あのお声の迫力は一生忘れられない」と、その卓越した表現力を称える声が数多く寄せられました。