ペット市場において「小さければ小さいほど高額で売れる」という異常なプレミアム相場が形成されて久しい現実があります。特に日本国内で絶大な人気を博す「ティーカッププードル」や「マイクロチワワ」と呼ばれる個体群は、公式な血統登録機関(JKCやAKCなど)では独立した犬種として一切認められていません。それらはすべて「トイプードル」や「チワワ」の枠組みの中で、単に規格外に小さく生まれた個体にショップやブリーダーが商業的な愛称を冠しているに過ぎないのです。
現在、国内ペット市場における価格相場を見ると、一般的なトイプードルの子犬が20万円〜40万円前後で推移するのに対し、成犬時1.5kg未満が確約されると喧伝されるティーカップサイズは80万円から150万円、時には200万円を超える異常な高値で取引されています。
この歪んだ需要に応えるため、一部の悪質な繁殖業者による「飢餓育種」が長年問題視されてきました。妊娠中の母犬に十分な栄養を与えず低体重児を産ませたり、生後間もない幼犬への授乳制限を行って骨格の成長を人為的に止めるという、動物福祉を著しく逸脱した行為です。こうして店頭に並んだ子犬は、購入後に家庭で適切な給餌を受けると急激に成長し、「ティーカップで買ったのに普通のトイプードルサイズ(3kg超)になった」という飼い主とのトラブルが国民生活センター等へ毎年多数寄せられています。