「2つの会社から給料をもらっているのだから、両方の会社で年末調整をしてもらえば手間が省けるのではないか」と考える人は少なくありません。所得税法第194条の規定により、ダブルワーク年末調整どっちで出すかという問いの法的回答は「収入額が最も高く、生活の主軸となっているメインの1社のみ」と明確に定められています。
会社から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、税務署に対して「私の基礎控除や配偶者控除などの各種控除をこの会社で一括適用してください」と宣言するための公的文書です。この申告書を提出した会社がその人にとっての「主たる給与の支払者(本業)」となり、提出していない会社は「従たる給与の支払者(副業)」として扱われます。
一部のネット掲示板やSNSでは「バレなければ両方に出しても問題ない」といった無責任な言説が散見されますが、扶養控除等申告書2社提出の真相は冷酷です。基礎控除などの所得控除を2重に受けて所得税を過少に納める脱税状態となるため、税務署のコンピュータシステムによる突合処理によって数カ月後に必ず把握されます。税務署から双方の企業の人事・労務部門へ「控除の重複に関する是正通知」が送付されると、経理担当者の間には不穏な空気が走り、副業の事実が一気に露呈することになります。