宜保愛子の名を全国区に押し上げたのは、日本テレビ系『お昼のワイドショー』内の名物コーナー『あなたの知らない世界』でした。新倉イワオ氏が構成・監修を務めたこの番組は、夏休みのお茶の間を凍りつかせ、昭和テレビ心霊番組ブームの火付け役となりました。
当時のテレビ界は現在のようなコンプライアンス基準が存在せず、視聴率獲得のためなら手段を選ばない過熱状態にありました。心霊スポットロケ裏話として、元制作プロデューサーは次のような証言を残しています。
「当時は宜保さんに何としても現場で霊を視てもらい、ショッキングなリアクションを撮るのが至上命題だった。しかし宜保さんは、事前に用意された台本通りには絶対に動かない。本当に危険だと感じた場所では頑として動かず、カメラの前でディレクターと本気の怒鳴り合いになることもしばしばだった」
あなたの知らない世界エピソードの数々を検証すると、宜保愛子の登場によって番組の質が「怪談の紹介」から「生々しい霊視ドキュメンタリー」へと変質していったことが分かります。しかしその過激化は、彼女自身を精神的・肉体的な極限状態へと追い詰める刃ともなっていきました。