平次と和葉の関係性は、コナンファンが最も熱狂し、時に最もじらされてきたラブコメディーの真骨頂です。ことの発端は、原作72巻・アニメ621話「ホームズの黙示録」において、新一がロンドンのビッグベン前で毛利蘭に告白したことでした。これを知った平次は強烈な対抗意識を燃やし、「新一のビッグベン以上のシチュエーションで和葉に告白する」という独自の誓いを立ててしまいます。
しかし、このこだわりこそが果てしない「告白すれ違い伝説」の幕開けとなりました。
- えびす橋での未遂(アニメ763-764話/原作83巻):大阪の戎橋で意を決して伝えようとするも、麻薬密売人の飛び降り事件が発生して中断。
- 自衛隊イージス艦での失敗(映画『絶海の探偵』):命の危機を脱したものの告白どころではない極限状態。
- 妖精の唇(アニメ983-984話/原作96巻):和葉に変装した怪盗キッドの唇を奪おうとし、コナンと蘭に現場を押さえられて未遂に終わる黒歴史。
- 箱根・紅葉の罠(原作102巻):イルミネーションの名所で告白を試みるが、紅葉の執事・伊織無我の工作に阻まれる。
そして迎えたのが、劇場版『100万ドルの五稜星』です。函館の極上の夜景を一望するヘリの上、平次はついに和葉へ「好きなんや、和葉!」と魂の告白を放ちます。ところがその瞬間、上空で炸裂したスタングレネード(閃光弾)の轟音により、肝心の和葉の耳には一切届いていなかったという、衝撃的かつ平次らしいオチが用意されていました。
しかし物語はそこで終わりません。原作コミックス106巻(FILE.1133「朱殷色の開花」)において、原作本編の平次がついに和葉の耳へ直接届く形で自らの想いを伝え、30年に及ぶすれ違いに歴史的な終止符が打たれることになりました。ファンが長年待ち望んだ二人の関係性の進展は、2020年代半ばの名探偵コナン最大の事件として語り継がれています。