放送当時、視聴者の間で「脚本がひどい」「物語が破綻している」と強い拒絶反応が起きた背景には、単なる好みの問題を超えた明確な脚本上の構造的欠陥が存在していました。視聴者の不信感を決定づけた主な理由は、大きく分けて以下の3点に集約されます。
第1に、主人公・比嘉暢子をはじめとする主要登場人物の倫理観と行動の著しい違和感です。暢子が東京の高級イタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で修行する過程において、料理人としての基本作法や他者への敬意を欠くシーンが頻発しました。オーナーである大城房子(原田美枝子)や先輩料理人の矢作(井之脇海)に対する不躾な態度、職場の厨房に部外者を勝手に招き入れる行為、客の料理に対するデリカシーの欠如など、プロの料理人を目指す姿としての説得力が致命的に不足していました。
第2に、長男・賢秀(竜星涼)が引き起こす金銭トラブルと家族の甘やかしです。「ニーニー」の愛称で呼ばれた賢秀は、ボクシングでの挫折以降、怪しげな健康食品のマルチ商法や投資詐欺、ネズミ講に次々と加担し、家族や周囲から大金を騙し取っては逃亡を繰り返しました。本来であれば法的な清算や痛烈な改心が描かれるべきところ、母・優子(仲間由紀恵)は無条件で許し、妹たちも最終的には笑って受け入れるという描写が続いたため、視聴者の道徳的許容ラインを完全に超えてしまったのです。
第3に、唐突な急展開と放置された数々の伏線未回収が挙げられます。深刻な問題が発生しても、数日後には何の説明もなく状況が好転しているという「ご都合主義」が常態化しました。例えば、巨額の借金を抱えていたフォンターナがなぜかあっさり危機を脱したエピソードや、賢秀が巻き込まれた詐欺被害の法的責任が曖昧なまま処理された点など、物語の因果関係が論理的に構築されておらず、視聴者が感情移入する梯子を幾度となく外す結果となりました。