爪の伸びる速度は生涯一定ではありません。ヒトのライフサイクルにおける爪の新陳代謝と年齢による変化には、明確な下降曲線が描かれます。
爪の成長速度が最もピークを迎えるのは、新陳代謝が極めて盛んな10代から20代前半です。この年代では細胞のターンオーバーが短周期で完結し、手の爪なら月に3.5mm近く伸びる個体も珍しくありません。しかし、20代半ばを境に成長速度は徐々に緩やかになり、60代以降になるとピーク時と比較して約30〜40%ほど成長速度が低下します。
加齢によって爪の伸びが鈍化する根本原因は、毛細血管の減少と末梢循環の衰え、そして爪母を構成する幹細胞の分裂能力の低下にあります。年を重ねるにつれて爪に縦方向の筋(縦爪)が目立つようになったり、爪自体が硬く割れやすくなったりするのは、皮膚のシワと同じく老化の自然なプロセスの一環です。爪母への栄養供給が減少することで生成される爪の水分保持能力が落ち、伸びる速度と柔軟性の双方が失われていくのです。