佐藤栄作ノーベル賞の真相|非核三原則と沖縄返還の裏に潜む核密約

佐藤栄作ノーベル賞の真相|非核三原則と沖縄返還の裏に潜む核密約

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ノルウェーのノーベル委員会が佐藤栄作への平和賞授与を発表したのは、1974年10月のことでした。当時の国際社会は米ソ冷戦の真っ只中にあり、アジアでもベトナム戦争の混迷が深まるなど、核軍拡の脅威が現実味を帯びていた時代です。

ノーベル委員会が公表した公式の授賞理由は、主に以下の3点に集約されます。

第一に、唯一の戦争被爆国である日本のリーダーとして「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を世界に先駆けて国是として提唱したこと。第二に、1970年に国際的な核兵器不拡散条約(NPT)へ調印し、日本の核武装化の道を制度的に遮断したこと。そして第三に、第二次世界大戦以降、米国の施政権下にあった沖縄を平和的・外交的な交渉のみによって回復させた「沖縄返還(1972年)」の実現です。軍事衝突を経ずに領土問題を解決し、極東アジアの安全保障環境を安定化させた指導力は、当時の国際社会から「平和的イニシアチブのモデルケース」として絶賛されました。

しかし、この選考結果は手放しの称賛ばかりではありませんでした。1974年の授賞は、アムネスティ・インターナショナル創設者であり国際平和ビューロー議長を務めたアイルランドの政治家、ショーン・マクブライドとの共同受賞という形が取られたのです。冷戦下で反体制派の人権擁護に命を懸けた草の根平和活動家と、西側陣営の安全保障同盟に深く組み込まれた現職政治家という異色の組み合わせは、ノーベル委員会内部でも選考を巡って激しい葛藤と政治的バランス調整が行われた決定的な証拠でした。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。