佐藤二朗の知名度を全国区へ押し上げた決定打といえば、テレビ東京系ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズの「仏(ほとけ)」役です。福田雄一監督とのタッグによって生まれた、セリフかアドリブか判別不能な掛け合いや、共演者を笑わせにかかる奔放なスタイルは、深夜ドラマの枠を超えて社会現象となりました。
しかし、彼の真価はコメディの枠に収まりません。自身が脚本・監督を手がけた映画『memo』(2008年)や『はるヲうるひと』(2021年)などの監督作品では、人間のエゴや社会の底辺で蠢く業を生々しく描き出しています。笑いの裏側に潜む孤独や苦悩を知り尽くしているからこそ、彼の生み出すコメディには独特の哀愁が宿り、シリアスな演技には凄みが増すのだと映画関係者は高く評価しています。