単刀直入に事実を検証すると、2026年現在、淡路島に大江戸温泉物語の運営施設は1館も存在しません。国土交通省の観光庁登録データ、運営会社である大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社の公式開示資料、ならびに兵庫県の宿泊施設届出台帳を精査したところ、淡路島島内において大江戸温泉物語の屋号を冠した施設は営業しておらず、現時点で「大江戸温泉 淡路島 オープン予定」に関する認可申請や公式プレスリリースも出されていません。
にもかかわらず、旅行系掲示板やSNS、知恵袋などでは定期的に「淡路島の大江戸温泉に泊まりたい」「予約はどこから取れるのか」という質問が投稿されています。大江戸温泉物語 淡路島という実在しない拠点が、なぜあたかも実在するかのように語られ続けているのか。取材班がその進出の真相を深掘りすると、リゾート観光地特有の認知バイアスと、宿泊業界のドラスティックな再編劇が浮き彫りになってきました。
兵庫県内の観光連盟関係者は、淡路島を巡る旅行者の心理を次のように分析しています。「淡路島は明石海峡大橋の開通以降、関西圏から車で1時間半圏内の手軽な保養地として定着しました。特にここ数年は西海岸を中心に高級ホテルや体験型テーマパークが急増しています。その一方で、1人1万円台半ばから泊まれる『大衆向けコスパ温泉宿』の供給が追いついておらず、関西人が慣れ親しんだ大江戸温泉の進出を望む潜在意識が、実在の噂へと転換した側面は否定できません」。