近年の募金額推移を語る上で欠かせないもう一つの決定的な要因が、寄付チャネルの劇的な構造転換です。かつての定番であった「会場に並んで武道館のメインステージに小銭の入った貯金箱を手渡す」という対面募金の光景は、過去のものとなりつつあります。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、番組は対面募金を大幅に制限し、スマートフォン決済(PayPay、LINE Pay、クレジットカード決済など)によるキャッシュレス募金を一気に本格導入しました。このデジタルシフトは、2つの相反する結果をもたらしています。
第一に、少額寄付のハードル低下と即時性です。被災地支援などの突発的なニーズに対し、番組を見ながらQRコードを読み込むだけで100円単位から即座に送金できる利便性は、若年層のチャリティー参加を促す起爆剤となりました。
第二に、「善意の手触り感」の喪失と総額の伸び悩みです。現場で硬貨や紙幣を募金箱に入れるという身体的体験は、寄付者に対して強い情動的満足感を与えていました。しかし、デジタル画面上でのタップ操作は日常の決済と変わらない感覚となり、結果として一人あたりの寄付単価が小さくなる傾向が指摘されています。また、決済事業者に支払われるシステム決済手数料が寄付金から一定割合差し引かれる点についても、透明性を求める寄付者の間で議論の対象となっています。