妹・町子の没後、毬子が心血を注いだのが、東京都世田谷区桜新町にある「一般財団法人長谷川町子美術館」(旧・長谷川町子美術館)の運営でした。姉妹で収集した近代日本画や工芸品、そして町子の原画を展示するこの美術館で、毬子は初代館長として来館者を静かに見守り続けました。
晩年は表舞台に立つ機会を減らしたものの、作品の著作権管理には最期まで厳格な姿勢を貫きました。粗製濫造なキャラクターグッズの乱立を許さず、『サザエさん』の持つ温かみと庶民性を守り抜いた姿勢は、現在のコンテンツビジネスにおいても高く評価されています。
2012年(平成24年)3月31日、長谷川毬子は誤嚥性肺炎のため都内の病院で逝去しました。享年94(満年齢)。妹・町子の旅立ちから20年後のことでした。葬儀は本人の遺志により近親者のみで密葬として執り行われ、激動の昭和・平成を駆け抜けた「マー姉ちゃん」の人生は静かに幕を閉じました。