刑罰の世界において、懲役と禁錮はどちらも受刑者を刑事施設に拘置して身体の自由を奪う「自由刑」に分類されます。しかし、法律上の序列および刑務所内での法的拘束力には明確な一線が画されていました。
日本の刑法第9条が規定する主刑の刑事罰の種類一覧には、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料の6種類が存在します。そして刑法第10条では、これらの刑罰の軽重が明文で規定されており、重い順に「死刑 > 懲役 > 禁錮 > 罰金 > 拘留 > 科料」と定められています。つまり、「懲役と禁錮の違いはどっちが重いか」という問いに対する法的な回答は、明確に「懲役の方が重い」となります。
両者の法的な境界線を分ける最大の要素は、刑務作業の義務が科されているか否かという点です。懲役刑の受刑者は、法律上、所定の作業(木工、印刷、縫製、金属加工などの労役)を行うことが義務づけられており、これを正当な理由なく拒否した場合は懲罰の対象となります。これに対し、禁錮刑は身体を拘束されるだけであり、刑務作業を行う法的な義務は一切課されていませんでした。
刑期に関しては、いずれも有期懲役と無期懲役、有期禁錮と無期禁錮が存在していました。有期の場合は原則として1か月以上20年以下であり、刑を加重する場合は最長30年、減軽する場合は1か月未満に短縮できる点も同一の設計でした。