SNSやネット掲示板では、インクルーシブ保育に対して両極端な誤解が拡散されています。その最たるものが「同じ部屋に放り込んで遊ばせておけば、子ども同士で自然に育ち合う」というロマンティシズムです。
発達心理学の知見に照らせば、ただ物理的に同じ空間に居合わせるだけ(物理的統合)では、差別や孤立、いじめを温床化させるリスクを高めるだけであることが証明されています。子ども同士の相互作用を成立させるためには、保育士が仲介役(ファシリテーター)となり、双方の気持ちを通訳し、遊びのルールを調整する高度な「足場かけ(スキャフォールディング)」が必須です。これを怠った放置型のインクルーシブは、単なる「ネグレクト的な混住」に他なりません。
もう一つの根強い誤解は、「障害児がクラスにいると、定型発達児の学力や発達が遅れる」という言説です。これについては国内外の追跡調査で明確に否定されています。適切な支援体制が敷かれているインクルーシブ環境下では、言語発達や問題解決能力において定型発達児に悪影響が出ないばかりか、自己肯定感やリーダーシップ、感情調整能力において平均を上回る成長を示すデータが多数報告されています。