トマトを切るとき、まな板の上が種と果汁で水浸しになり、身がぐしゃりと崩れてしまった経験はないだろうか。プロの厨房では、この果汁流出による旨味の損失と見た目の崩れを徹底的に防いでいる。ポイントは、ヘタの真裏に見える「放射状の白い筋」を見極めることだ。
トマトの内部には、ゼリー状の種を抱える部屋(心室)と、それを支える肉厚な「隔壁」が存在する。白い筋の真上を避け、筋と筋のちょうど中間地点に包丁を入れると、種を傷つけずにカットできる。結果として果汁の流出を極限まで抑えられ、角の立った美しいエッジが保たれるのだ。
さらに効果的なのが、カットする直前に氷水へ30秒ほど浸して果皮を引き締める下処理テクニックだ。果皮の細胞がキュッと締まり、包丁の刃が吸い込まれるように滑らかに入る。まな板を汚さず、トマト本来のジューシーな旨味をすべて皿の上へと届けるための基本技である。