佐野厄除け大師がネット上で「やばい」と形容される現象を紐解くと、参拝者が直面する3つの強烈なギャップに行き着く。第1に、正月三が日や1月の初詣シーズンにおける都市機能の麻痺だ。東北自動車道の佐野藤岡ICから寺院周辺に至る一般道は完全にストップし、わずか数キロを進むのに2時間以上を要する過酷な渋滞が常態化している。現場を訪れたドライバーから「動かない、まさにやばい」という悲鳴がSNS上に投稿され、それが検索トレンドを押し上げている。
第2に、寺院の運営スタイルに対する戸惑いである。関東の民放各局で12月に入ると頻繁に放映されるテレビCMは、寺院という聖域のイメージとは裏腹に、極めて洗練された広告戦略を感じさせる。堂内で行われるご祈祷も、大勢の参拝者を効率よく案内するシステムが構築されており、人によっては「ベルトコンベア作業のようで風情がない」「まるで企業のビジネスを見ているようだ」と受け取られ、商業主義批判の温床となっている。
第3に、参拝後の精神的衝撃だ。「引いたおみくじで凶が出た」「ご利益を感じるどころか混雑で体調を崩した」という口コミが一定数散見される。だが、これらは後述するように、寺院の由緒ある教義や歴史的背景を知らない参拝者の主観に起因する部分が大きい。物理的ストレスとイメージのギャップが複合した結果が、「やばい」という包括的なワードへと集約されているのが真相である。