自らのセクシュアリティを明かす決断には、常に巨大な圧力が伴う。ハリウッドではエリオット・ペイジがトランスジェンダーであることを公表し、映画界全体のキャスティング基準や役柄の幅を広げる先駆者となった。日本国内においても、従来のイメージに縛られることなく「自分らしさ」を開花させた氷川きよしのように、ジャンルを超えて独自の立ち位置を確立する存在が人々に強い勇気を与えている。
だが、誰もが円滑な移行を果たせるわけではない。CM契約の違約金リスクや、特定のイメージを求めるスポンサーへの配慮、さらには心ないネット上の誹謗中傷など、公表の影に潜む代償は極めて重い。ある中堅事務所のマネージャーは「公表後の『性的マイノリティの象徴』というレッテル貼りが、本来の俳優や歌手としての正当な評価を覆い隠してしまう恐怖と常に戦っている」と実情を語る。