検索窓に金融機関の名前を入れた際、ネガティブな関連ワードが表示されると誰しも不安を覚えます。千葉興業銀行のやばいという噂の真相を金融取材の知見から検証すると、主に3つの構造的な要因が浮かび上がってきます。
1つ目の要因は、平成の金融危機時に受けた公的資金注入の歴史です。千葉興業銀行はバブル崩壊後の不良債権処理に伴い、預金保険機構を通じて公的資金の資本増強を受けました。この過去の出来事がネット上の掲示板やまとめサイトに残り続け、断片的な知識を持つ層によって「経営危機に陥っているのではないか」という誤解を再生産し続けています。しかし、同行は公的資金をすでに全額完済しており、近年の決算短信およびIR資料を見ても、自己資本比率は国内基準である4%を大幅に上回る水準を維持しています。経営基盤の健全性に直ちに疑問符がつく状態ではありません。
2つ目は、近年の銀行業界全体に共通する合理化・効率化に伴う店舗統廃合と窓口営業時間の変化です。ちば興銀は業務効率化のため、一部支店で窓口業務の昼休業(11:30〜12:30の一時閉店)を導入し、ブランチ・イン・ブランチ(同一店舗内での複数支店共同運営)を推進しました。これに対して、長年窓口を対面で利用してきた高齢層や自営業者から「使い勝手が悪くなった」「行ったら閉まっていた」という不満の声が上がり、それが「やばい」という感情的な口コミへ転じた側面があります。
3つ目は、住宅ローンの審査基準に対するギャップです。「大手に比べて地銀だから通りやすいだろう」と安易に申し込んだ申込者が、個別の信用情報や返済比率の壁に阻まれて否決された際、SNSや知恵袋などで「審査が厳しすぎてやばい」と書き込むケースが目立ちます。実態としては経営危機などではなく、合理化の摩擦と個人の審査結果に起因する主観的な評価がネット上で増幅された結果と言えます。