教育現場の第一線に立つ教員や、広報を担当するPTA役員、そしてクラスを牽引する生徒たちへの取材からは、ターゲットに合わせた素材選びのリアルな苦悩と成功パターンが浮かび上がってきます。
都内の中学校で生徒会顧問を務める教諭は、デザイン選定における「温度差」について次のように証言します。「生徒たちに自由に選ばせると、インターネットで見つけた体育大会イラストかっこいい系のメカニカルなフォントや劇画調の素材に集中しがちです。しかし、それをそのまま地域向けの案内状に使うと、文字が読みにくく近隣住民への配慮に欠けてしまう。用途によって住み分ける指導が不可欠です」
現場の実体験から導き出された最適な使い分け基準は、以下のように明確です。
小学校低学年や幼稚園向けの配布物、あるいはPTAが発行する広報誌では、運動会イラスト手書き風のタッチや、丸みを帯びた体育大会イラストかわいいテイストが圧倒的な支持を得ています。柔らかな線画や水彩タッチのイラストは、児童の無邪気さや温もりを演出し、受け取る保護者に安心感を与える心理的効果が実証されています。
これに対し、中学校・高校の体育大会学級旗イラストでは、真逆のベクトルの需要が突き抜けます。クラスの団結の象徴となる旗には、獰猛な虎や龍、炎や稲妻のモチーフを組み合わせたシャープなデザインが好まれ、生徒の士気を劇的に鼓舞します。ある高校の文化祭・体育祭実行委員長の手記には、「自分たちのクラス旗が遠くからでも一目で分かる迫力を持っていたことが、競技中の最大のモチベーションになった」と記されており、ビジュアルが集団心理に及ぼす影響の大きさを物語っています。