「PDFをCADに変換したのに、線をクリックしても選択できず、図面全体が一枚の画像になってしまう」「文字が全部『???』や空欄に化けてしまう」という現象には、明確なデジタル構造上の理由があります。
最大の分岐点は、元となるPDFにおけるベクターデータとラスターの違いです。CADソフトから直接書き出されたPDF(ベクターデータ)は、始点と終点の座標、線の太さ、円弧の曲率といった幾何学情報が数値として保持されています。これに対して、紙の図面を複合機でスキャンしたPDF(ラスターデータ)は、単なる微細な色の粒(ピクセル)の集合体にすぎません。ピクセルの集合でしかないスキャン図面を通常の変換ツールに通しても、CADソフトはそれを「1枚の写真」としてしか認識できず、編集可能な「線分」には復元できないのです。
また、CAD変換時の文字化け対策で壁となるのが、フォントのエンコード形式の違いです。設計図面で長年使われてきたAutoCAD独自の「SHXフォント」やCAD特有のストロークフォントは、PDF書き出し時に特殊なパスデータとして焼き込まれるか、フォント定義が抜け落ちた状態で出力される傾向があります。結果として、変換ツール側で適切な代替フォント(Windows標準のTrueTypeフォントなど)への割り当てができず、記号化や空白化を引き起こします。
さらに見落とされがちなのが、DWG変換の失敗原因と解決法に関わる「PDFのバージョンとレイヤー保護」です。PDF内に埋め込まれたレイヤー情報がロックされていたり、出力元のCADソフトが独自拡張した特殊なハッチングパターンが含まれていると、変換エンジンがポリラインの終点を特定できず、無数の微細な線分に分解されてフリーズを招く引き金となります。