若い世代を中心にインターネット上で頻繁に交わされるのが、「名瀑・養老の滝と、大衆居酒屋チェーンの『養老乃瀧』はどういう関係なのか?」という疑問です。「居酒屋の養老乃瀧が滝を所有しているのか」「創業地がこの岐阜県養老町なのか」といった憶測すら飛び交っています。
結論から整理すると、名勝「養老の滝」と居酒屋「養老乃瀧」との間に直接の資本関係や運営上のつながりは一切ありません。
しかし、全くの無関係かといえばそうではありません。歴史を紐解くと、居酒屋チェーン「養老乃瀧」の創業者である木下藤吉氏が、昭和13年(1938年)に長野県松本市で創業した前身の「富士食堂」から発展させ、昭和26年(1951年)に横浜で現在の屋号を掲げた際、この岐阜県の「養老孝子物語」に深い感銘を受けたことが公式史料に記録されています。
木下氏は「親を想い、まごころを尽くす孝行息子の姿勢」と「水がおいしい酒に変わるというめでたい奇跡」に事業の精神を重ね合わせました。「庶民が安心して安らぎ、親しみやすい価格でうまい酒を酌み交わせる場所にしたい」という創業哲学を込め、この名瀑にあやかって「養老乃瀧」と命名したのです。
つまり、居酒屋チェーンが滝を所有しているわけではなく、名瀑に宿る歴史的スピリットと親孝行の美徳に敬意を払い、屋号として受け継いだというのが正確な歴史的事実です。この背景を知った上で現地を訪れると、茶屋で振る舞われる酒や名水グルメの味わいも一層深まるはずです。