日本のクラフトビール市場を語る上で、先人たちが築いた確かな足跡を無視することはできない。沼津から始まって全国にその名を轟かせたベアードブルーイングの創業者、ブライアン・ベアード氏が貫いてきた無ろ過・二次発酵へのこだわりと職人魂は、今なお若手ブルワーたちのバイブルだ。愚直なまでに素材の個性を引き出す手法は、現在のマイクロブルワリー文化の揺るぎない土台となっている。
一方で、「よなよなエール」などで知られるヤッホーブルーイングが果たした役割も極めて大きい。親しみやすいデザインと徹底した品質管理で、マニアのものだった多様なスタイルのビールを一般家庭の食卓へと届けてみせた。職人気質の探求心と、カルチャーを社会へ広める革新性。このふたつが交差する地点に、今の東京の豊かな醸造環境が花開いている。