英語圏で何世代にもわたって語り継がれている、代表的な回文の傑作フレーズを紹介します。短文でありながら完璧な構文とウィットに富んだ意味を持っています。
1. Madam, I'm Adam.(マダム、私はアダムです)
世界で最も有名な英語回文の一つであり、「人類最初の自己紹介」というユニークなシチュエーションが設定されています。聖書に登場する最初の人類アダムが、妻となるイブ(夫人=Madam)に対して初めて挨拶した言葉というジョーク仕立ての作品です。「M-A-D-A-M-I-M-A-D-A-M」と文字だけを取り出すと、中央の「I」を軸に見事な線対称を描いていることがわかります。
2. Was it a car or a cat I saw?(私が見たのは車だったのか、それとも猫だったのか?)
リズム感、文法構造の美しさ、そして情景のシュールさで高い人気を誇る定番フレーズです。「was it a...」から始まり「...i saw」で終わるこの文は、夜道で見かけた影に戸惑う人物の心理をコミカルに描き出しています。中学レベルの基本文法だけで構成されているため、英語学習の導入教材としても頻繁に引用されます。
3. No lemon, no melon.(レモンもないし、メロンもない)
語感の良さと覚えやすさで圧倒的な支持を集める短文回文です。フルーツの名前がリズミカルに並び、左右どちらから読んでもまったく同じ文字列が出現します。文字数が少なく無駄のない構造は、回文のミニマリズムの極致と言えます。
4. Do geese see God?(ガチョウは神を見るのか?)
哲学的かつナンセンスな問いかけがネイティブの笑いを誘う名作です。「Do」「geese」「see」「God」という4つの単語が、中央の「s」を中心に見事に反転します。短いながらも主語と動詞、目的語の語順が完璧に維持されている点が秀逸です。
5. Able was I ere I saw Elba.(エルバ島を見るまでは、私にも力があった)
歴史上の英雄ナポレオン・ボナパルトが、失脚してエルバ島に幽閉された際の心情を詠んだとされる格調高い歴史回文です。「ere」は「〜の前に」を意味する古英語(before)であり、詩的な風格を漂わせています。歴史的事実と高度な語彙が見事に融合した知的名作として知られています。