輝かしい床嶋佳子 バレエ時代は、順風満帆な成功の連続ばかりではありませんでした。10代で全日本バレエコンクール本選入賞、1986年にはバレエ界のオリンピックとも称されるブルガリアの「ヴァルナ国際バレエコンクール」でシニア部門セミファイナリストに輝くなど、国際的なトップランナーとして嘱望されていました。しかし、過酷なジャンプと着地の連続により、足首とアキレス腱に深刻な怪我を負うことになります。
かつて本人が回顧録や特番インタビューで語ったところによれば、「爪先立ちで踊り続けることが肉体的に限界を迎えたとき、目の前が真っ暗になった」といいます。人生のすべてを捧げてきた舞踊というアイデンティティを断たれかけた20代前半の失意は、想像を絶するものでした。
しかし、そこで立ち止まらないのが彼女の真骨頂でした。舞台上で身体全体を使って感情を表現してきた経験を生かし、芝居の世界へ身を投じる決断を下します。1988年に舞台デビューを果たすと、1991年には連続ドラマ『ヴァンサンカン・結婚』にレギュラー出演。以降、知的なキャリアウーマンから影のある悲劇のヒロインまで自在に演じ分ける実力派として頭角を現しました。
特にテレビ朝日系の『警視庁・捜査一課長』シリーズにおける大岩一課長(内藤剛志)の妻・小春役や、『検事・朝日奈耀子』シリーズなど、数々のサスペンスドラマ出演作で見せる確固たる演技力は、お茶の間の絶大な支持を獲得。視聴者に安心感と緊張感の双方を届ける貴重な女優として、揺るぎないキャリアを構築していきました。