スキンケア情報が氾濫する中で、医学的に誤った言説が定着してしまっている事例は極めて多い。代表的な3つの誤解を正しく解体しておく必要がある。
誤解1:市販薬の「オロナイン」や「ステロイド軟膏」を塗れば万全
家庭に常備されがちなステロイド軟膏は、一時的に炎症を抑えるものの、局所の免疫力を低下させる作用を持つ。これを真菌感染症(マラセチア)や毛包炎に塗布すると、病原菌が無制限に増殖し、重篤な酒さ様皮膚炎の症状を引き起こす引き金となる。原因が特定できない段階での安易なステロイド連用は絶対にしてはならない。
誤解2:ブツブツができている時は「徹底的に油分を断つ」べき
脂漏性皮膚炎のスキンケアにおいては、マラセチアの栄養源となる特定の油脂(オリーブ油、オレイン酸など)を避ける必要がある。しかし、完全な無保湿状態に陥ると、肌内部の水分蒸散が進んで角化が乱れ、毛孔性苔癬の顔への波及やインナードライによる皮脂の過剰分泌を招く。グリセリンフリーやスクワラン、セラミドなどの低刺激な保湿成分を用いた適切な水分保持が不可欠だ。
誤解3:角質ポロポロジェルを使えば「稗粒腫」も取れる
市販のピーリングジェルで巻き取られるのは表面のアカに過ぎず、真皮浅層や表皮内に強固に閉じ込められた白いブツブツ(稗粒腫)をスキンケアで排出させることは構造上不可能である。擦る物理的摩擦によって周囲の健康な皮膚が色素沈着を起こすリスクの方がはるかに高い。