世界文化遺産・富士山の構成資産として名高い忍野八海ですが、昼食に関して「こんなはずではなかった」と肩を落とす観光客が後を絶ちません。取材班が現地を歩き、観光客や周辺飲食店へのヒアリングを重ねる中で、後悔を生む3つの明確な要因が浮かび上がってきました。
第1の落とし穴は、「麺切れ閉店」のスピード感に対する認識不足です。忍野八海周辺のハイレベルな手打ち蕎麦店は、富士の湧水を用いてその日の早朝に打った限定数しか提供しません。多くの名店が「売切次第終了」を掲げており、週末や行楽シーズンには12時30分前後に暖簾を下ろす事例が頻発しています。「八海を一通り散策してから、ゆっくり13時過ぎに蕎麦を食べよう」と構えていた観光客が、軒並み受付終了を告げられて途方に暮れる光景は日常茶飯事です。
第2の落とし穴は、中心部「中池」周辺の過密と駐車場難民化です。忍野八海八番霊場の「湧池」に隣接する大型土産物店エリア(通称・中池)は、団体ツアーバスと個人客が集中する最激戦区となります。このエリア一帯の有料駐車場(1回300円〜500円程度)は午前11時を過ぎると満車が相次ぎ、周辺の狭い村道は身動きが取れない渋滞に陥ります。車列に巻き込まれたまま空腹のピークを迎え、妥協して入った混雑フードコートで割高感を抱くケースが散見されます。
第3の落とし穴は、「食べ歩きスナック」による満腹トラップです。忍野の通りには、湯気を上げる焼き草餅や湧水で冷やした名水豆腐、川魚の塩焼きなど食欲をそそる軽食が並びます。立ち止まるごとに手を出してしまい、いざ目当てのほうとう店に着いた頃には胃袋が中途半端に満たされ、名物鍋のボリュームに圧倒されて美味しさを堪能しきれないという声が寄せられています。