ネット上で囁かれる「湘南美容外科で死亡事故が起きた」という言説について、結論から明確に言えば、厚生労働省の行政処分履歴や報道各社のデータベースにおいて、同院が直接関与した死亡事故の確定記録は存在しません。医療機関において患者の死亡を伴う重大な過失が認められた場合、医師免許の取り消しや数カ月から数年に及ぶ業務停止命令といった重い処分が下され、公的に告示されます。しかし、SBCメディカルグループの中核を成す医療法人や主要院長に対して、そうした死亡事故を理由とする行政処分が下された履歴は確認されていません。
では、なぜこれほど強固に噂が定着しているのでしょうか。その深層には、美容医療業界全体で発生した過去の重大事故の記憶が、知名度の高い同院に結びつけられた認知の混同が存在します。昭和から平成、さらに令和にかけて、美容外科業界では脂肪吸引や豊胸手術、全身麻酔の管理ミスによる痛ましい死亡事故が散発的に報じられてきました。一般の読者にとって、大手美容クリニックの名称は混同されやすく、センセーショナルな事件報道の見出しと最大手のブランド名が記憶の中で無意識に連結されてしまったことが取材から浮かび上がります。
医療過誤をめぐる裁判記録を調査すると、同院においても術後の仕上がり(二重の左右差や拘縮、感染症)やインフォームドコンセントの不備を理由とする民事上の損害賠償請求や返金トラブルの係争例は散見されます。これらは年間数百万人を診療する医療機関であれば統計的に不可避な側面もありますが、重大な人身事故や生命の喪失を伴う事案とは明確に区別して捉えなければなりません。